福岡県北九州市八幡西区永犬丸2丁目10-10
医療法人権頭クリニックでは、人生の最終段階を迎える患者がその人らしい最期を迎えられるよう、「人生の最終段階における医療・ケアプロセスに関するガイドライン」(厚生労働省)を踏まえ、患者およびその家族と多職種で構成される医療・ケアチーム、あるいは患者の療養に関わる地域連携施設を含めて十分に話し合い、患者の意思と権利が尊重された上で適切な意思決定を行えるよう指針を定める。
医師等の医療従事者は患者に適切な情報の提供と説明を行い、患者本人による決定を基本としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則である。
また、本人の意思は変化しうるものであることを踏まえ、将来の変化に備え、将来の医療及びケアについて、患者を主体に、その家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者の意思決定を支援するプロセス(アドバンスケアプランニング:ACP)が重要である。
人生の最終段階における医療・ケアについて、医療・ケアの開始・不開始、医療・ケアの内容の変更、医療・ケアの中止等は、医療ケアチームによって、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断するべきである。
医療・ケアチームにより、可能な限り疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、患者・家族等の精神的・社会的援助も含めた総合的な医療・ケアを行うことが必要である。
生命を短縮させる意図を持つ積極的安楽死は対象としない。
方針の決定は、本人の状態に応じた専門的な医学的検討を経て、医師等の医療従事者から十分な情報提供と説明がなされることが必要である。そのうえで、本人と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合いを踏まえた本人による意思決定を基本とし、多職種から構成される医療・ケアチームとして方針の決定を行う。
時間の経過、心身の状態変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより適切な情報の提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるように支援が行われることが重要である。この際、本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等も含めて話し合いが繰り返されることも必要である。
このプロセスにおいて話し合われた内容はその都度、診療録に記載する。
以下の手順により、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要がある。
家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。
家族等が本人の意思を推定できない場合は、本人の意思を推定し、何が最善であるのかについて、本人に代わるものとして家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の更新等に応じて、このプロセスを繰り返し行う。
家族等がいない場合および家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、本人にとっての最善の治療方針をとることを基本とする。
障がい者や認知症等で、自らの意思決定をすることが困難な場合は、厚生労働省が作成した「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定ガイドライン」を参考に、できる限り患者本人の意思を尊重し反映した意思決定を、家族および関係者、医療・ケアチームやソーシャルワーカー等が関与して支援する。
このプロセスにおいて話し合われた内容は、その都度、診療録に記載する。
身寄りがない患者における医療・ケアの方針についての意思決定プロセスは、本人の判断能力の程度や入院費用等の資力の有無、信頼できる関係者の有無等により状況が異なるため、介護・福祉サービスや行政の関わり等を利用して、患者本人の意思を尊重しつつ厚生労働省の「身寄りがない人の入院及び医療に係る、意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」を参考に、その決定を支援する。
以下の場合等については倫理コンサルテーションチームへ相談し、医療・ケアチーム以外のものを加えて、方針等についての検討および助言を行う。
医療・ケアチームの中で、心身の状態等により医療・ケアの内容の決定が困難な場合
本人と医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容について合意が得られない場合
家族の中で意見がまとまらない場合や、医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容について合意が得られない場合
人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスにおけるガイドライン
(厚生労働省 平成30年3月改訂)
身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン
(厚生労働省ホームページより 研究者代表 山縣然太朗)
認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定ガイドライン
(厚生労働省 平成30年6月)
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